1章 大学広報戦略とは?なぜ今見直しが必要なのか
大学を取り巻く環境は、この10年で大きく変化しました。かつては大学名や偏差値が志望校選びの中心でしたが、現在は学生生活の充実度や将来のキャリア、学びの内容など、多様な要素が重視されています。
さらに、少子化による受験人口の減少も進んでいます。その結果、多くの大学が学生募集において競争を強いられる状況となっています。
このような時代において重要になるのが大学広報戦略です。
単に大学の魅力を発信するだけでは十分ではありません。ターゲットに合わせた情報設計を行い、適切なタイミングで発信し、志願につなげる仕組みづくりが求められています。
少子化によって大学間競争は激化している
文部科学省の統計を見ると、日本の18歳人口は長期的に減少傾向にあります。
受験生が減るということは、大学側から見ると潜在顧客が減るということです。
特に地方大学や中規模大学では、学生募集が経営課題になっているケースも少なくありません。
【大学を取り巻く環境変化】
| 項目 | 過去 | 現在 |
| 情報収集方法 | 学校案内・進路指導 | SNS・検索・動画 |
| 大学選び | 偏差値重視 | 学び・雰囲気重視 |
| 広報手法 | パンフレット中心 | デジタル中心 |
| 接点 | オープンキャンパス | 常時接触型 |
このような変化に対応するためには、従来型の広報活動だけでは限界があります。
今後はデジタルを前提とした広報設計が不可欠です。
高校生の情報収集行動は大きく変わった
現在の高校生は、知りたいことがあるとまずスマートフォンで検索します。
さらに近年では検索エンジンだけではありません。
SNSが検索ツールとして活用されています。
例えば以下のような行動が一般的です。
【高校生の情報収集例】
- Instagramで大学名を検索する
- TikTokでキャンパス動画を見る
- YouTubeでオープンキャンパス動画を見る
- Xで在学生の投稿を見る
- Googleで口コミを調べる
- LINEで説明会情報を受け取る
大学の公式サイトを見る前にSNSを確認するケースも増えています。
つまり、高校生にとってSNSは大学の第一印象を決める重要な接点になっているのです。
オープンキャンパスだけに依存する時代は終わった
以前は大学広報といえばオープンキャンパスが中心でした。
もちろん現在でも重要な施策です。
しかし、オープンキャンパスだけで学生募集を完結させることは難しくなっています。
その理由は高校生の検討期間が長期化しているためです。
高校1年生から情報収集を始める学生も珍しくありません。
【進学検討の流れ】
- SNSで大学を知る
- 興味を持つ
- 大学サイトを見る
- 動画を視聴する
- オープンキャンパスに参加する
- 出願を検討する
この流れを見ると、オープンキャンパスは最終段階に近いことがわかります。
その前段階で接点を持てなければ、候補校にも入らない可能性があります。
SNS時代に求められる大学広報戦略とは
SNS時代の大学広報戦略では、「知ってもらう」だけではなく「興味を持ってもらう」ことが重要です。
さらに、その興味を継続させる仕組みも必要になります。
例えば以下のような設計です。
【SNS時代の広報設計】
| フェーズ | 目的 | 主な施策 |
| 認知 | 大学を知ってもらう | TikTok・Instagram |
| 興味関心 | 魅力を伝える | YouTube・記事 |
| 比較検討 | 強みを理解してもらう | 大学サイト |
| 行動 | 来校・出願 | LINE・説明会 |
このように各施策を連携させることで成果につながります。
単発の施策ではなく、全体設計が重要なのです。
広報とマーケティングはどう違うのか
大学では広報とマーケティングが混同されることがあります。
しかし両者には違いがあります。
【広報とマーケティングの違い】
| 項目 | 広報 | マーケティング |
| 目的 | 情報発信 | 志願者獲得 |
| 視点 | 大学側 | 学生側 |
| 内容 | ニュース発信 | 戦略設計 |
| 成果指標 | 認知度 | 志願者数 |
広報活動は重要ですが、それだけでは成果につながりません。
高校生のニーズを理解し、志願行動まで設計することが必要です。
これが現代の大学広報戦略の本質といえるでしょう。
2章 大学広報戦略の基本設計|ターゲット理解が成功のカギ
どれだけ魅力的な大学でも、伝える相手を間違えると成果は出ません。
大学広報戦略で最も重要な要素の一つがターゲット理解です。
誰に向けて、どんな価値を、どのように伝えるのか。
ここが曖昧なまま施策を実施すると、SNS運用や広告に予算を投下しても成果は限定的になります。
まずはターゲットを明確にする
大学広報というと高校生だけを対象に考えがちです。
しかし実際には複数のターゲットが存在します。
【主なターゲット】
- 高校生
- 保護者
- 高校教員
- 進路指導担当者
- 卒業生
- 地域社会
それぞれ求める情報は異なります。
例えば高校生は大学生活や雰囲気に興味があります。
一方で保護者は就職実績や学費、サポート体制を重視します。
同じ情報発信では刺さらないのです。
高校生が大学選びで重視するポイント
高校生は大学名だけで進学先を決めているわけではありません。
近年は大学生活そのものへの関心が高まっています。
【高校生が重視する要素】
順位|重視ポイント
:–|:–
1|学びたい内容
2|就職実績
3|キャンパスの雰囲気
4|立地
5|学生生活
6|留学制度
7|部活動・サークル
この傾向を踏まえると、学部紹介だけを発信していても不十分です。
学生の日常やキャンパスライフを発信する必要があります。
保護者向け広報も重要になる
大学進学は大きな投資です。
そのため保護者の影響力は非常に大きいといえます。
特に私立大学では学費負担が発生するため、保護者が納得できる情報提供が欠かせません。
【保護者が気にするポイント】
- 就職率
- 資格取得実績
- 学費
- 奨学金制度
- 安全性
- キャリア支援
- 卒業後の進路
保護者向けページや説明会を充実させることで、進学決定率向上につながる可能性があります。
高校教員・進路指導担当者も重要な存在
高校教員は毎年多くの受験生を指導しています。
そのため大学選びに与える影響も大きい存在です。
特に指定校推薦や総合型選抜では重要な役割を担います。
【高校教員が重視するポイント】
- 教育内容
- 学生支援体制
- 就職実績
- 入試制度
- 卒業後の進路
教員向け情報発信を継続することで、推薦につながる可能性があります。
自大学の強みを整理する
ターゲットを理解したら、次は大学の強みを整理します。
多くの大学が陥る失敗は「何でも伝えようとすること」です。
その結果、特徴が見えなくなります。
まずは以下の観点で整理しましょう。
【大学の強み整理シート】
| 項目 | 内容 |
| 学び | 特徴的な学部・学科 |
| 就職 | 就職率・支援体制 |
| 国際性 | 留学制度・海外提携 |
| 学生生活 | サークル・イベント |
| 立地 | アクセス・周辺環境 |
| 施設 | 最新設備・研究環境 |
整理した後は、最も強みとなる要素を絞り込みます。
競合大学との差別化が必要
高校生は複数の大学を比較します。
そのため競合大学との差別化が重要です。
例えば以下のような視点があります。
【差別化ポイントの例】
- 少人数教育
- 実践型授業
- 企業連携
- 高い就職率
- 留学制度
- 地域連携活動
- 最先端研究
重要なのは「他大学より優れている点」ではありません。
「高校生が魅力を感じる点」を見つけることです。
ターゲット理解が大学広報戦略の出発点
SNS運用も動画制作も広告配信も、すべてはターゲット理解から始まります。
誰に向けて発信するのか。
その人は何を知りたいのか。
どんな不安を抱えているのか。
これらを明確にすることで、広報施策の精度は大きく向上します。
成果を出している大学ほど、発信前の戦略設計に多くの時間を使っています。
大学広報戦略を成功させるためには、まずターゲット理解を徹底することが重要です。
3章 大学広報戦略で活用すべきSNSとデジタル施策
大学広報戦略において、SNSはもはや補助的なツールではありません。高校生との接点を生み出し、興味関心を高め、オープンキャンパスや出願へつなげる重要な集客チャネルです。
ただし、すべてのSNSを同じように運用しても成果は出ません。それぞれの特性を理解し、役割を分けて活用することが大切です。
Instagramは大学の世界観を伝える重要な媒体
現在、多くの高校生が大学名をInstagramで検索しています。
特に女子高校生を中心に、大学の雰囲気や学生生活を確認するために活用されています。
【Instagramで発信すべき内容】
- キャンパス風景
- 学生の日常
- サークル活動
- 学食紹介
- オープンキャンパス情報
- 学園祭情報
- 在学生インタビュー
【Instagram運用のポイント】
| 項目 | 内容 |
| 投稿頻度 | 週3~5回 |
| リール動画 | 積極活用 |
| 写真品質 | 高品質を維持 |
| ストーリーズ | 毎日更新 |
| ハイライト | 学部別に整理 |
Instagramでは「この大学楽しそう」と思わせることが重要です。
TikTokは認知拡大に最適
TikTokは大学を知らない層へ情報を届ける力があります。
高校生は目的なく動画を視聴するケースが多く、偶然の出会いから興味を持つことも珍しくありません。
【人気コンテンツ例】
- 大学あるある
- 学生の一日
- 授業紹介
- 学食ランキング
- サークル紹介
- 入試あるある
【TikTokの特徴】
| メリット | 内容 |
| 拡散力 | フォロワーが少なくても再生される |
| 若年層接触 | 高校生との相性が良い |
| 制作コスト | 比較的低い |
| 認知獲得 | 新規層へ届きやすい |
大学名を知らない高校生へアプローチするならTikTokは非常に有効です。
YouTubeで大学の魅力を深く伝える
YouTubeは比較検討段階で活用されます。
高校生が大学について詳しく調べる際に視聴するケースが多く見られます。
【おすすめ動画】
- キャンパスツアー
- 学部紹介
- 教員インタビュー
- 在学生インタビュー
- 卒業生インタビュー
- オープンキャンパス動画
【動画テーマ例】
| タイトル例 |
| 大学生の1日に密着 |
| 人気学部の授業を体験 |
| 就職活動成功者インタビュー |
| 学食人気ランキング |
| オープンキャンパス完全ガイド |
YouTubeは信頼形成に効果的です。
高校生や保護者が安心感を得るきっかけになります。
LINEは見込み学生との関係構築に最適
SNSで興味を持った学生を取り込む役割を担うのがLINEです。
オープンキャンパス予約や説明会案内など、具体的な行動を促進できます。
【LINE活用例】
- オープンキャンパス案内
- 入試情報配信
- 出願スケジュール通知
- 個別相談受付
- イベント予約
【LINE導入のメリット】
- 開封率が高い
- 情報を確実に届けられる
- 行動につながりやすい
- 継続的な接触が可能
大学サイトとの連携が成果を左右する
SNSだけでは出願につながりません。
最終的には大学サイトへ誘導し、詳しい情報を提供する必要があります。
【理想的な導線】
SNS
↓
大学サイト
↓
資料請求
↓
オープンキャンパス
↓
出願
SNSで興味を持ち、サイトで理解を深める流れを構築しましょう。
SNSとオープンキャンパスを連携させる
SNS運用とオープンキャンパスを別施策として考える大学もあります。
しかし成果を出している大学は連携しています。
【連携例】
| オープンキャンパス前 | オープンキャンパス後 |
| 告知動画配信 | 当日の様子を投稿 |
| 学生紹介 | 来場者の声紹介 |
| 施設紹介 | 次回開催案内 |
| イベント告知 | 出願情報配信 |
SNSから来場につなげる導線設計が重要です。
SNS活用で重要な考え方
SNS運用で最も重要なのは「大学が伝えたいこと」ではなく「高校生が知りたいこと」を発信することです。
高校生は大学の理念よりも、学生生活や将来のイメージを知りたいと考えています。
その視点を持つことで、SNSの成果は大きく変わるでしょう。
4章 成果につながる大学広報コンテンツの作り方
SNSアカウントを開設しても、発信内容が魅力的でなければ成果は出ません。
大学広報戦略ではコンテンツ設計が非常に重要です。
高校生が「見たい」「知りたい」と思う情報を継続的に届ける必要があります。
高校生が本当に見たい情報とは
大学側と高校生では関心事が異なります。
大学側が伝えたい内容ばかり発信しても、反応は得られません。
【大学側が発信しがちな内容】
- 学長メッセージ
- 式典報告
- 学術研究紹介
【高校生が見たい内容】
- 学生生活
- 授業風景
- サークル活動
- キャンパスの雰囲気
- 就職実績
- アルバイト事情
まずは高校生目線で考えることが重要です。
在学生コンテンツは高い効果を生む
高校生は将来の自分をイメージできる情報に興味を持ちます。
そのため在学生の登場するコンテンツは非常に人気があります。
【おすすめ企画】
- 学生の1日
- 通学ルーティン
- サークル活動紹介
- 学生インタビュー
- 一人暮らし紹介
- 時間割公開
在学生のリアルな姿は信頼性が高く、共感も得やすいです。
学部・学科紹介はわかりやすさが重要
学部紹介では専門用語が多くなりがちです。
しかし高校生にとっては理解が難しい場合があります。
【悪い例】
「高度な専門知識を活用した学際的研究を推進」
【良い例】
「企業と連携しながら実践的なマーケティングを学べる」
学びの内容だけでなく、将来どのような仕事につながるかも伝えましょう。
キャンパスライフを具体的に伝える
高校生は大学生活への期待を持っています。
そのため日常の様子を積極的に発信することが重要です。
【人気コンテンツ】
| コンテンツ | 人気度 |
| 学食紹介 | 高 |
| 学生の1日 | 高 |
| サークル活動 | 高 |
| キャンパス紹介 | 高 |
| 教室紹介 | 中 |
| 研究紹介 | 中 |
進学後の生活が想像できる内容が効果的です。
ショート動画は積極的に活用する
近年は動画コンテンツが主流です。
特に短尺動画は高校生との相性が良いとされています。
【おすすめ動画尺】
- TikTok:15~60秒
- Instagramリール:30~60秒
- YouTubeショート:30~60秒
【動画テーマ例】
- 学食人気メニュー
- 教室ツアー
- サークル紹介
- 学園祭の様子
- 学生の日常
短時間で魅力を伝える工夫が必要です。
継続的に成果を出す企画を作る
単発投稿だけでは運用が続きません。
シリーズ企画を作ることで継続しやすくなります。
【シリーズ企画例】
- 大学生の1日シリーズ
- 学部紹介シリーズ
- 卒業生インタビューシリーズ
- 学食紹介シリーズ
- サークル紹介シリーズ
シリーズ化するとフォロワーの期待感も高まります。
コンテンツカレンダーを活用する
年間計画を立てることで投稿の質が安定します。
【年間スケジュール例】
| 時期 | 発信内容 |
| 4~6月 | 学部紹介 |
| 7~8月 | オープンキャンパス |
| 9~11月 | 学園祭・学生生活 |
| 12~2月 | 入試情報 |
| 3月 | 新入生向け情報 |
計画的に運用することで広報効果を高められます。
成果が出る大学広報コンテンツの共通点
成果を出している大学には共通点があります。
【成功大学の特徴】
- 学生が主役
- 写真や動画が豊富
- 投稿頻度が安定
- 高校生目線を徹底
- 将来がイメージできる
大学広報戦略において重要なのは、大学の魅力を一方的に伝えることではありません。
高校生が進学後の未来を具体的に想像できるコンテンツを発信することです。
その積み重ねが認知拡大や志願者増加につながっていきます。
5章 成功する大学広報戦略の実践ステップと事例
大学広報戦略はSNSを運用するだけでは成果につながりません。
重要なのは戦略立案から実行、改善までを一貫して行うことです。
ここでは実際に成果につながりやすい進め方を解説します。
大学広報戦略の基本ステップ
まずは全体像を理解しましょう。
【実践フロー】
| ステップ | 内容 |
| STEP1 | 現状分析 |
| STEP2 | ターゲット設定 |
| STEP3 | 強みの整理 |
| STEP4 | コンテンツ設計 |
| STEP5 | SNS運用 |
| STEP6 | 効果測定 |
| STEP7 | 改善 |
この流れを繰り返すことが重要です。
現状分析から始める
広報戦略を立てる前に、自大学の現状を把握します。
【分析項目】
- 志願者数
- 入学者数
- SNSフォロワー数
- サイトアクセス数
- オープンキャンパス参加者数
- 出願率
数値を把握することで課題が見えてきます。
KPIを設定する
広報活動は成果を測定できなければ改善できません。
【主なKPI】
| 項目 | 指標 |
| 認知 | SNSフォロワー数 |
| 興味関心 | エンゲージメント率 |
| 比較検討 | サイト訪問数 |
| 行動 | オープンキャンパス予約数 |
| 最終成果 | 出願数 |
目的に応じて適切な指標を設定しましょう。
成功している大学の共通点
成果を出している大学には共通する特徴があります。
【共通点】
- 学生目線で発信している
- 動画活用が進んでいる
- SNSを複数運用している
- 定期的に分析している
- 広報担当だけに任せていない
特に学生との協働は重要です。
高校生に近い感覚でコンテンツを制作できます。
よくある失敗パターン
大学広報では同じ失敗が繰り返されています。
【失敗例】
- 更新頻度が少ない
- 学内向け情報ばかり発信する
- 動画を活用していない
- 分析をしていない
- SNSごとの役割が曖昧
これらを避けるだけでも成果は改善しやすくなります。
今後の大学広報に求められる考え方
これからの大学広報は「発信」だけでは不十分です。
高校生とのコミュニケーションが重要になります。
【今後重要になる要素】
- 動画活用
- SNS検索対策
- 学生参加型広報
- データ分析
- パーソナライズされた情報提供
大学選びの方法は今後も変化していくでしょう。
その変化に対応できる柔軟な広報体制が求められます。
まとめ|選ばれる大学になるための広報戦略とは
少子化が進む中で、大学広報戦略の重要性はますます高まっています。
SNSや動画を活用しながら、高校生・保護者・高校教員それぞれに適切な情報を届けることが必要です。
また、単なる情報発信ではなく、進学後の未来を具体的に想像できるコンテンツを提供することが重要です。
成果を出している大学は、ターゲット理解を徹底し、SNSとオープンキャンパス、大学サイトを連携させながら一貫した広報活動を行っています。
これからの大学広報は「伝える広報」から「選ばれるための広報」へ進化していく必要があります。高校生の行動変化を理解し、時代に合わせた戦略を実践することが、志願者獲得への近道となるでしょう。

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